壊れそうなほど胸が苦しくて
Episode2 “0”と“6”
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【Episode2 “0”と“6”】
夜もすっかり深くなり、
俺1人となっていたフロアに外出先から帰ってきた田中課長が現れた。
「虎ちゃん、まだ残ってたの?」
「はい。
ここ最近の石神工業の生産精度があまり良くないのが気になって、
過去遡ってデータ纏めてました。」
「そうなのか?
纏まったら俺にもメールしておいて。」
「了解です。」
田中課長は俺が作成していた資料を横から覗き込むと、自分の席へと向かう。