壊れそうなほど胸が苦しくて
「サクラに対して良い印象を持っていない子達がいるのも事実です。
やっぱり文字で伝えるのは、言葉で伝えるより時間と手間がかかりますからね。」
「・・・まぁ確かにあの子が入ってきた時、
教育係を買って出てくれたのは虎ちゃんと山村君だけだったからね。
・・まさかイジメなんてないだろうな?」
「うちの職場にそんなつまらない事する奴はいませんよ。
あの子の傍には俺とナガセがいますしね。
ただ、みんな、
“極力関わるのを避けている”
・・って感じがします。」
「そうか・・・。
お前らがいつも3人で昼飯食ってるのも、
そういう理由があるんだな。」
「課長、サクラの“仕事を覚えよう”という向上心と努力は、
加藤や北条といった他の連中にも負けません。
俺は、伝票処理ばっかりじゃなくて、
もっと取引先との会議や現地出張にも積極的に彼女を起用すべきかと・・・
もっとみんなと同じ仕事をさせてもいいんじゃないかと考えます。」
「・・・・・・分かった。
虎ちゃんがそこまで言うのなら間違いないね。
その方向で業務分担考えてみるよ。
あと、
俺ももっとみんなの話を聞かないとな。」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
田中課長とは、
仕事の話4
お互いの家庭話6
の割合で話をすることが多いけど、この日だけはその後もずっと仕事の話を続けた。