壊れそうなほど胸が苦しくて
時計を見ると間もなく8時30分。
始業時間が近づいているのに、ナガセの前の席がまだ空席なのが気になった。
「サクラ遅いな。」
「どうせあいつの事だから、
寝ぼけて歯磨き粉とわさびを間違えて使って悶え苦しんで、
家出る時間を過ぎたんですよ。」
心配をする俺とは対象的に、ナガセは至って冷静且つ斜め上の予想をしていた。
「いや・・・さすがにあの子でもそんな間違いは・・。」
“バンッ!!”
時計の長針が“6”に差し掛かり、
チャイムが鳴った瞬間、
フロアの扉が勢いよく開けられ噂の女の子が入ってきた。