壊れそうなほど胸が苦しくて



『遅くなってごめんなさい!』

口パクでもそう言っているのがよく伝わる程、

皆に申し訳なさそうに両手を合わせて挨拶しながら、席まで小走りに走ってくる。




「セーフ!大丈夫だよ。」

席に座る直前、俺の顔を見てきたので、

野球の審判のように両手を横に広げた後、ゆっくり口を動かしながら大きく頷いた。




「・・・遅刻だバカ。」

次にナガセの方を見たので何を言うかと思ったら・・・。

この男は文句なしの良い男なのに、相変わらずサクラに対しては何故か手厳しい。




『いーーーだ!』

ナガセに向かって、歯を食いしばるような顔を作って、席に着いた。



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