【BL】貴方を好きになっていいですか?
煙草の火を消し、お父さんは訊ねてくる。
僕は首を横に振り、
「喧嘩なんかじゃないよ。…だけど少し似てるかもしれない…」
そっと目を反らした。
「そうか……」
お父さんはそう一言呟き、屋上から建物内に入るドアを開けながら付け足すように言葉を紡いだ。
「…とりあえず今は直貴の傍にいてやってくれ。彼奴もそう望んでるはずだ」
「………っ」
錆びた鉄が擦り合うような音の後、分厚い扉が閉まる音が聞こえた。
空はまだ暗雲がかかったままだ。