【BL】貴方を好きになっていいですか?
✿ 5
心地よい風と共に僕の歩調は一定のリズムで運ばれていく。
空を仰げば、うっすらとだが三日月が見える。
雲はすっかり晴れていたが、ふと真上を通った飛行機が引いた細い飛行機雲が目立った。
「……綺麗だ」
何時の間にか、そう口にしていた。
車はもう両親が乗って行き、無くなってしまったので、電車で帰るほかなかった。
改札を通って電車に乗り込み、降りた先は見慣れた景色が広がるホーム。
……直貴、いつ退院してくるかな?
そんな事を考えていると、シャツの胸ポケットに入れてあった携帯電話が小刻みに震えた。
…社長か?
取り出して見てみると、そこには見慣れた文字。
――直貴
僕は急いで通話ボタンを押した。
「もしもしっ…、直貴か!?」