【BL】貴方を好きになっていいですか?
社長は優しく微笑しながら此方に近寄ってくる。
「あっ…、いつ頃からそこにいらしたのですか?」
「ついさっきだ。従業員が帰っていった時に来た」
…なるほど。だから僕は社長が来ていた事に気が付かなかったのか。
今更ながら、社長は何時も裏口から入ってくる。
なので表口から出ていく従業員たちとすれ違う事もないのだ。
…さぁ、そろそろ本題を切り出してもらいたい。
「…で、社長。お話とは?」
僕が社長の顔を覗きながら訊くと、
「……うむ。まぁ座りたまえ」
社長はソファーに向かい合うようにして、椅子を置いた。
「……失礼します」
僕はソファーに座った社長の正面にくるように椅子に腰をおろした。
「…では、本題といこう」
社長は辺りを一度見回してから口を開いた。
張り詰めた空気。