-SHORT STORY- 涙雨 ナミダアメ 〜届かない心〜
君を忘れない。
I believe to meet you again.
雨上がりの駅。
帰宅ラッシュの改札で、今日も、君を見つける。
僕の涙雨は、すっかり乾いてしまった。
でも、いつか、この涙が根から枯れる日が来る。
僕も、君も。
せめて、その時が来るまで、一緒にいたいんだ……。
柱の前に立つ僕の前を通り過ぎる君。
いつもなら僕も見て見ぬ振りだけど、
今日は違う。
颯爽と歩いていく君の手首を掴んだ。
振り返った君の瞳は、何を見てるの?
ガラスみたいに透き通ってしまって、
焦点が合わない。
もっと近くに、そばに来て、
僕のことを思いっきり責めてくれたなら、
君のことを諦められるのに……。
君の心はまだ、雨が降ってる。
しとしと、弱い長雨。
僕は、ただ、そんな雨から君を守る傘になりたかったんだ。
君の雨降りの心に伝えるよ。
「愛してる」