幸せ
読み終えた時、まだ現実を把握しきれなかった。

でも同時に、どこか腑に落ちたような感覚に陥った。


僕と別れてから3年ほど経った時、彼女が誰かと付き合い始めた、という風の噂が僕の耳にも入った。

相手は、誰でも当然名前を知っているような一流の企業に勤めていて、僕とは違って収入も安定している。


悔しいとかなんだか負けた気がするとかそんな気持ちもあったけれど、それ以上に安心したというのが正直な感想だった。



みんなから愛される可愛らしい君は、それくらいスペックの高い男と結婚したほうが幸せだ。



そんな風に思った時、鮮明に君の言葉を思い出した。

その時の状況や、窓から差し込む眩い西日も。


君の声が聞こえた気がした。



「私の幸せは私が決める」
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