星をつかまえて……。
「お兄ちゃんは、星……好き?」
控えめに聞こえる声は夜空を見ながら呟く。
「好きだよ」
「そっか……。私も好きだよ」
空を見ながら僕に答える留美はとても楽しそうに、笑みをこぼす。
「私は、あの星が好きなの」
「どれ……?」
彼女は指をさしながら星の名前を教えてくれるが、たくさんの星があって分からない。
「えっとね。アレとアレと……」
彼女は、指を動かして教えてくれたのは――
「北斗七星って、虫取り網みたいだよね」
きれいな光を放つ北斗七星だった。
「虫取り網……?」
「お星様をいっぱい……いっぱい、掴まえられそうだもん」
空を見上げて、大きく両手を広げる留美。
確かに北斗七星は柄杓(ひしゃく)の形してるから、虫取り網に見えない事はない。
「うん。あの星で――ごほごほっ!」
「る、留美っ」
「だい、じょ……ごほっ」
「大丈夫じゃないだろ。部屋に戻ろう」
僕は留美の車椅子を押して、屋上をあとにした。
控えめに聞こえる声は夜空を見ながら呟く。
「好きだよ」
「そっか……。私も好きだよ」
空を見ながら僕に答える留美はとても楽しそうに、笑みをこぼす。
「私は、あの星が好きなの」
「どれ……?」
彼女は指をさしながら星の名前を教えてくれるが、たくさんの星があって分からない。
「えっとね。アレとアレと……」
彼女は、指を動かして教えてくれたのは――
「北斗七星って、虫取り網みたいだよね」
きれいな光を放つ北斗七星だった。
「虫取り網……?」
「お星様をいっぱい……いっぱい、掴まえられそうだもん」
空を見上げて、大きく両手を広げる留美。
確かに北斗七星は柄杓(ひしゃく)の形してるから、虫取り網に見えない事はない。
「うん。あの星で――ごほごほっ!」
「る、留美っ」
「だい、じょ……ごほっ」
「大丈夫じゃないだろ。部屋に戻ろう」
僕は留美の車椅子を押して、屋上をあとにした。