向日葵◇ひまわり
女の子は近くの木の下に、摘んだと思われる花を沢山並べていた。
そして近くにいる人達皆に葉っぱを配って歩いていた様だ。


平日の真っ昼間に、こんな着崩れたスーツの怪しげなオヤジに向けてくれた無垢な笑顔に、
凍て付いた心がほんの少し緩むのを感じた。

一通り葉っぱを配り終えた女の子は

「ユキちゃんのお花屋さん開店で~す」

と大きな声で言った。


その声に吸い寄せられるように、ユキちゃんの元に歩いて行った。

側には、ユキちゃんの母親と思われる人が、
『すみません』と恥ずかしそうに来る人来る人に、頭をペコリと下げていた。


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