向日葵◇ひまわり
――夏休み――

二人は、ひまわりが一緒に行って欲しいと言っていた、一面向日葵の咲く丘にいた。


丘の上から見下ろすと、一面黄色の絨毯を敷き詰めた様に本当に綺麗だった。

「綺麗だな…。」

思わず口に出てしまった。

「うん、綺麗だよね…
私の大好きな場所

お兄ちゃんと一緒に来た最後の場所…。」

それから、小さな声で

「お兄ちゃん、私やっとあの日から
動き出せた気がする

私の大切な人達のお陰で、
今一緒にいる洸が、
私を見つけ、
私の居場所となり、
私を闇から導いてくれた…
私の全てを救ってくれた
一番大切な、愛する人です。

見てくれてますか?」

帽子から、伸び始めたサラサラの髪が、
風に揺れて美しくキラキラしていた。

その横顔は、最初に会った時の様に、
懐かしそうに向日葵畑を見つめていたが、
その瞳は強く、輝いていて、未来への希望で満ち溢れていた。

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