Blank Time

5月3日

結局足が止まることなく見事に登頂してしまった僕は、まだ夏でもないのに蒸し暑く、重だるい熱風に身体を預けながら、ホームの端を目指した。

GW中ということもあり、ホームの上はたくさんの人で溢れかえっていた。
これだけたくさんの人がここにいながらにして、人口減少が社会問題になっているんだろう?と問いたくなるほどだ。

ここにいる多くの人はきっと僕たちが向かう駅より先のテーマパークに行く人々なんだろう。
普段はスーツ姿にネクタイ、革靴、黒い鞄を持っているであろうお父さんたちが、ポロシャツにジーパン、スニーカーを履いて、リュックを背負い、子供の手を引いている。

お父さんも大変だなぁ。きっと休みの日ぐらいゆっくりしたいだろうに。今日は夢の国に行って、幻想世界で多くの人々、家族の形を見て、またたくさんの現実を目の当たりにするのだろう。

そんなことを考えている間に2両目付近まで辿り着いたのだった。
人間ってどうでもいい人の考え事をしている時は自然と足って動いてるんだなぁ。と感心さえする。

パッと顔を上げると、ホームの端でジッと遠くを見つめている小柄なショートカットの女の子が立っているのが視界に入ってきた。
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