オレ、キューピッド

神様?

近所の公園に来ていた。
二人でブランコに座る。

『ゆうちゃん、ボクに頼んだだろ』
『え?』
『神様、なにとぞ初恋が実りますように!』
『うわ!なんで知ってんだよ!』
『そりゃ知ってるよ』
『おま、聞いてたのかよ!』

いやそんなはずはない。
そもそも声には出していなかったのだから。
思いが強すぎて口に出していたのだろうか。
頭が混乱する。

『聞いてたよ、お願いされたら聞くのが仕事だからね』
『お、おい!なんなんだよお前は』
『なにって、さあ?』
『さあって』
『神様ってみんなはボクに呼び掛けてくるよ』
『は?』
『ゆうちゃんも言ってたし』
『いやいやいや、ないない』
『ま、ゆうちゃんの好きに思ってくれていいよ、とにかくボクはゆうちゃんの願いを叶えるお手伝いをするよ』
『なんだよそれ』
『さて、ボクは思うにね、まずは周囲を整理してみたらいいんじゃないかなぁ』
『整理って?』
『ゆうちゃんはまだ初恋を知らないでしょ』
『は?』
『伊藤さんのこと別に好きじゃないんでしょ』
『う…』
『ただ恋人っていうものには興味がある』
『ぐ…』
『そこでだ!周りのみんなの恋愛をさ、参考にするんだよ』
『な、なるほど!』
『みんなに話を聞いてみたら何か分かるかもよん』
< 14 / 63 >

この作品をシェア

pagetop