獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
「ああ、馬鹿な女だ。王太子様にあんなことを言ったら、首切りものだぞ」
ふいに聞こえたそんなヒソヒソ声に、アメリは目を瞠った。
あろうことか、群衆はアメリの言葉など信じていないようだった。目の前の鎧兜の男が、カイルだと思い込んで疑っていない。彼らにとって、アメリは横暴な王太子に歯向かう向こう見ずな女に過ぎないのだ。
予想外の展開に怯んだアメリを、鎧兜の男は見逃さなかった。
「俺を侮辱した罰として、この者を連れて行く! ただちに捕らえよ!」
瞬く間にアメリのもとに駆け寄ってきた二人の従者が、両脇からがっちりとアメリを捕らえた。
そのまま無理矢理に、華奢な彼女の体を鎧兜の男が跨る馬の上へと押し上げる。
「――離してっ!」
「うるさいっ!」
男の手の中でアメリは暴れたが、後ろから飛んできた男の拳に後頭部を殴られ、痛みとともに視界が霞む。
意識を手放したアメリの体を鎧兜の男は片手で抱くと、勢いよく鞭をしならせ道の先へと馬を走らせた。
ふいに聞こえたそんなヒソヒソ声に、アメリは目を瞠った。
あろうことか、群衆はアメリの言葉など信じていないようだった。目の前の鎧兜の男が、カイルだと思い込んで疑っていない。彼らにとって、アメリは横暴な王太子に歯向かう向こう見ずな女に過ぎないのだ。
予想外の展開に怯んだアメリを、鎧兜の男は見逃さなかった。
「俺を侮辱した罰として、この者を連れて行く! ただちに捕らえよ!」
瞬く間にアメリのもとに駆け寄ってきた二人の従者が、両脇からがっちりとアメリを捕らえた。
そのまま無理矢理に、華奢な彼女の体を鎧兜の男が跨る馬の上へと押し上げる。
「――離してっ!」
「うるさいっ!」
男の手の中でアメリは暴れたが、後ろから飛んできた男の拳に後頭部を殴られ、痛みとともに視界が霞む。
意識を手放したアメリの体を鎧兜の男は片手で抱くと、勢いよく鞭をしならせ道の先へと馬を走らせた。