獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
ドーソン男爵の指が、アメリの黒髪にサラリと触れる。瞬時に鳥肌が立ち、アメリは必死に頭を振ってその手を払いのけた。
アメリの反抗的な態度に、ドーソン男爵は不快な表情を浮かべる。
「なぜ拒む? むしろ、感謝して欲しいくらいだよ。どうして王太子の顔を知っているのか疑問に思い君のことを調べたが、君はあの悪魔の元婚約者だそうだね。城から追い返された女など、誰が娶りたいと思う? 一生結婚もせずに孤独に生きるより、ここで私に可愛がられる方がよほどか幸せじゃないか」
「絶対に嫌だわ。あなたのものになるくらいなら、死んだ方がマシよ」
声を荒げれば、ほう、とドーソン男爵は挑発的な声を上げた。
「ならば、死ぬがいい。止めはしないよ」
ドーソン男爵は右手を横に差し出すと、「ガスパー、短剣を」と背後にいる男に命令した。
ガスパーと呼ばれたドーソン男爵の弟は、自分の懐から短剣を取り出し兄の掌にポンと置く。ドーソン男爵は短剣を鞘から抜くと、「さあ、どうぞ」とわざとらしいほど丁寧な口調でアメリに差し出した。
ギラリと光る短剣を目前に突き付けられ、アメリの全身に震えが走る。
アメリの反抗的な態度に、ドーソン男爵は不快な表情を浮かべる。
「なぜ拒む? むしろ、感謝して欲しいくらいだよ。どうして王太子の顔を知っているのか疑問に思い君のことを調べたが、君はあの悪魔の元婚約者だそうだね。城から追い返された女など、誰が娶りたいと思う? 一生結婚もせずに孤独に生きるより、ここで私に可愛がられる方がよほどか幸せじゃないか」
「絶対に嫌だわ。あなたのものになるくらいなら、死んだ方がマシよ」
声を荒げれば、ほう、とドーソン男爵は挑発的な声を上げた。
「ならば、死ぬがいい。止めはしないよ」
ドーソン男爵は右手を横に差し出すと、「ガスパー、短剣を」と背後にいる男に命令した。
ガスパーと呼ばれたドーソン男爵の弟は、自分の懐から短剣を取り出し兄の掌にポンと置く。ドーソン男爵は短剣を鞘から抜くと、「さあ、どうぞ」とわざとらしいほど丁寧な口調でアメリに差し出した。
ギラリと光る短剣を目前に突き付けられ、アメリの全身に震えが走る。