獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
それは最初から、まるでアメリの魂さえをも奪いつくすような激しいキスだった。


口の中を荒々しくかき乱され、燃えるような熱情を送り込まれる。


触れるだけのキスすらしたことのないアメリは、息をすることすらままならない。


息苦しさにカイルの胸を押して逃れようとすれば、後頭部に手を回され、ますます唇を求められた。


けれどもカイルの熱い息を何度も肌で感じ、アメリと同じく彼も息を切らしているのに気づいた頃、全身を包み込むような幸福感が訪れる。


あ……っ、と自分のものとは思えない甘い吐息が漏れたところで、ようやくカイルは唇を離してくれた。


ひたむきにアメリを求める艶っぽい瞳を目の当たりにした瞬間、感じたことのない疼きが体の奥から湧いてきた。


「カイル様……」


この未知なる感情の行き場が分からず、濡れた瞳で縋るように彼の名前を呼べば、天色の瞳に静かな炎が宿る。


カイルは、今度はアメリの首筋に唇を寄せた。


執拗な吸い付きに快感を伴う傷みが走り、アメリは体をのけ反らせて苦しげに悶える。


ようやく首筋から顔を上げると、カイルは自らが着ていた紺色の軍服を脱いでアメリの肩に掛け、引き裂かれた胸もとを覆うように前で掛け合わせる。


白いシャツ姿になったカイルは、アメリの背中と膝の裏に腕を回し、彼女の体をそっと抱え上げた。

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