獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
シルビエ広場には多くの人々が集まっていて、皆驚きの眼差しで馬上の二人を見ていた。


カイルは馬の速度を緩めることもなく、真っすぐに城を目指す。


二人が町の人々の前を通り過ぎた頃、思い出したかのように「アメリ~!」と声が聴こえた。


「なんだかよく分からないけど、とにかく無事で良かったよ!」


エプロンで涙を拭いながら大声で叫んでいたのは、エイダンだった。 


それに触発されたように、あちらこちらから「アメリさーん!」「アメリ~! 心配したんだからな!」と声が上がった。


アメリはカイルの背中越しに、「みんなありがとう! 心配かけてごめんなさい」と大きく手を振る。


アメリを呼ぶ歓声は薄水色の空高く響き、二人の姿が城へと続く道の向こうに見えなくなるまで続いた。
< 126 / 197 >

この作品をシェア

pagetop