獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
間近で、二人の視線が絡み合う。


アメリが金糸雀色の頭を撫でていた手を遠ざければ、中空でカイルの手がその手を捕らえた。


「では、お前の瞳の色の意味は何だ?」


「私のですか? 私の瞳の色言葉は……」


母は、アメリの瞳を翡翠色と呼んだ。母とそっくりな瞳の色は、今も昔もアメリの誇りだ。


「”初恋”」


そう答えると、アメリを見つめる天色の瞳が穏やかな気配を見せた。






(微笑んだ……?)


アメリが瞠目するやいなや、捕らえられた手がベッドの上に縫い付けられた。


手の甲を優しく撫で上げる感触とともに、触れるだけのキスが唇に落ちてくる。


束の間のキスを終えても、カイルはアメリと額をくっつけるようにして、物憂げにアメリの唇に視線を注いでいた。


唇に優しさだけを残してすぐに離れてしまった熱に、アメリの胸に歓びと切なさが込み上げる。


(また、あの感じ……)


カイルに触れられれば、体の奥が疼くような未知の感覚がまた湧いてくる。


どうしたらいいのか分からず、教えを乞うように撫でられていた手を握り返せば、もう一度唇が重なった。


触れるだけだったものが、まるでアメリの全てを欲するように、徐々に深くなっていく。


キスに没頭するカイルに圧され、アメリは悶えながらベッドの上に仰向けに倒れ込んだ。


アメリの艶やかな黒髪が、乳白色のシーツに扇状に広がる。











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