獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
剥き出しの胸が、外気に触れる。


上半身にカイルの絡みつくような視線を感じて、アメリは恥ずかしさのあまり自分の顔を両手で覆った。


胸に直に手が触れ、唇が寄せられる。


羞恥心のあとに訪れたのは、今日幾度目になるか分からない恐怖心だった。


未知なる感覚が大波のように体を突き抜けて、甘い声が自然と漏れる。自分の体が、まるで別物のようだ。得体の知れない体の変化に、アメリは震えた。





するとそこで、無我夢中でアメリを求めていたカイルが顔を上げた。


そして、瞳を涙で濡らし、頬を上気させているアメリの顔を見つめる。


見開かれた天色の瞳には今何が映っているのだろうと、アメリは不安になる。


小刻みな体の震えが止まらず、どうにかさせようと、アメリは自分の体を抱きすくめた。





天色の瞳が、哀しげに揺らいだ気がした。落ち着きを取り戻したカイルはドレスを元通りに着せると、アメリをベッドの上に残したまま立ち上がる。


「行かれるのですか……?」


何か、気分を害するようなことをしただろうか。不安でいっぱいのアメリは、ベッドから身を起こしながら尋ねた。


するとカイルはちらりともアメリを振り返ることもなく、


「……これからは、城で好きに過ごせ」


それだけ言い残して、部屋を出て行ってしまった。



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