獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
「あのカイル殿下が、踊ってらっしゃる……!」
「こうやって見ると、もの凄く素敵な王子様ね。もっと早くに気づけば良かったわ」
メヌエットの旋律に合わせて、互いの手を取り合った二人は優雅に舞った。
意外なことに、カイルはダンスが上手い。私以外の令嬢とも踊ったことがあるのかしらと、アメリが妬いてしまうほどに。
カイルの手の中でアメリがくるりと回転すれば、カイルは器用に長い腕を伸ばして彼女の背中を受け止める。
けれども注目を浴びていることに苛立っているのか表情はムッとしていて、顔の赤みはなかなか引かない。
それがなんだかおかしくて笑いそうになった時、アメリの心にふっと、彼への愛しさと明日出兵してしまう切なさが込み上げた。
曲調が、緩やかになる。
カイルの胸に顔を預けながら、アメリはその温もりを全身で受け止めた。
「カイル様……、どうかご無事でいてください……」
自然と、切実な言葉が溢れてくる。
カイルの身がピクリと震えると同時に、曲が終わった。
ダンスに興じていたゲストたちが、パートナーを変えるためにそぞろに動き出す。
身を寄せ合ったままアメリを見つめるカイルの表情は、どこか苦しげだった。
「ここを、出よう」
カイルはアメリにそう告げると、アメリの手を取り広間の外へと誘った。
「こうやって見ると、もの凄く素敵な王子様ね。もっと早くに気づけば良かったわ」
メヌエットの旋律に合わせて、互いの手を取り合った二人は優雅に舞った。
意外なことに、カイルはダンスが上手い。私以外の令嬢とも踊ったことがあるのかしらと、アメリが妬いてしまうほどに。
カイルの手の中でアメリがくるりと回転すれば、カイルは器用に長い腕を伸ばして彼女の背中を受け止める。
けれども注目を浴びていることに苛立っているのか表情はムッとしていて、顔の赤みはなかなか引かない。
それがなんだかおかしくて笑いそうになった時、アメリの心にふっと、彼への愛しさと明日出兵してしまう切なさが込み上げた。
曲調が、緩やかになる。
カイルの胸に顔を預けながら、アメリはその温もりを全身で受け止めた。
「カイル様……、どうかご無事でいてください……」
自然と、切実な言葉が溢れてくる。
カイルの身がピクリと震えると同時に、曲が終わった。
ダンスに興じていたゲストたちが、パートナーを変えるためにそぞろに動き出す。
身を寄せ合ったままアメリを見つめるカイルの表情は、どこか苦しげだった。
「ここを、出よう」
カイルはアメリにそう告げると、アメリの手を取り広間の外へと誘った。