獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
夜の回廊を抜け、アメリを連れたカイルが向かったのは見張り塔の前にある中庭だった。
夜会の催されている大広間からは距離があるため、人気がなく閑散としている。
噴水の石枠にアメリを座らせ自分も隣に腰かけたものの、カイルは何も話そうとはしない。
夜風に乗り、大広間から楽しげな音楽が微かに聴こえてくるだけだった。
「あの、こんなに素敵なドレスを贈ってくださり、ありがとうございました」
何か話さなくてはと思いアメリが口を開けば、カイルの片眉が怪訝そうに上がる。
「なぜ、知っている?」
「その……。何となく、そうではないかと思っただけです」
脅えるアレクの表情を思い出し、アメリは微笑んで誤魔化した。
「このドレス、ぴったりでした。身体の寸法も図っていないのに、どうしてサイズがお分かりになったのですか?」
「サイズくらい、見れば分かる」
「見ただけで、ですか?」
「86、56、85。コルセットの厚みと圧迫率も計算済みだ」
どこか得意げにスリーサイズを告げるカイルに、アメリは目を丸くした。
(ぴったり……!)
ひょっとすると、カイルは天才なのかもしれない。けれども、嬉しいような嬉しくないような複雑な気分だ。
どう切り返したらいいのか分からずアメリが言葉を失っていると、
「この間は、すまなかった」
ポツンと、カイルが謝ってきた。
夜会の催されている大広間からは距離があるため、人気がなく閑散としている。
噴水の石枠にアメリを座らせ自分も隣に腰かけたものの、カイルは何も話そうとはしない。
夜風に乗り、大広間から楽しげな音楽が微かに聴こえてくるだけだった。
「あの、こんなに素敵なドレスを贈ってくださり、ありがとうございました」
何か話さなくてはと思いアメリが口を開けば、カイルの片眉が怪訝そうに上がる。
「なぜ、知っている?」
「その……。何となく、そうではないかと思っただけです」
脅えるアレクの表情を思い出し、アメリは微笑んで誤魔化した。
「このドレス、ぴったりでした。身体の寸法も図っていないのに、どうしてサイズがお分かりになったのですか?」
「サイズくらい、見れば分かる」
「見ただけで、ですか?」
「86、56、85。コルセットの厚みと圧迫率も計算済みだ」
どこか得意げにスリーサイズを告げるカイルに、アメリは目を丸くした。
(ぴったり……!)
ひょっとすると、カイルは天才なのかもしれない。けれども、嬉しいような嬉しくないような複雑な気分だ。
どう切り返したらいいのか分からずアメリが言葉を失っていると、
「この間は、すまなかった」
ポツンと、カイルが謝ってきた。