獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
カイルは、真摯な眼差しでアメリの決意を受け止めた。
「わかった」
そう答えたカイルの口もとには、優しげな微笑が浮かんでいた。
だが、初めて見るカイルの無垢な微笑みにアメリが心を奪われたのは一瞬だった。
立ち上がったカイルが、アメリの前に片膝を付いたからだ。
「カイル様……!?」
アメリは、慌てふためいた。片膝を付くのは、服従の証だ。決して、カイルのような身分の人間が一介の伯爵令嬢にする行為ではない。
アメリの動揺を意に介すこともなく、カイルは落ち着いた表情で胸に手を当てる。
「私、カイル・エリオン・アルバーンは誓います。一生をかけて、あなたを守り抜くことを」
凛とした言葉の響きに吸い込まれるように、アメリの動揺が消えて行く。
「だからどうか、私にあなたとの結婚をお許しください」
遠く聞こえるヴァイオリンの音も、宵風の音も、緑葉から滴る夜露の音も。
この世の全てが、その瞬間音を失った。
アメリの耳を支配するのは、心地良い波長を奏でるカイルの声のみだった。
こちらに真っすぐ向けられる天色の瞳から、金縛りにあったかのように目を離せない。
アメリは、震える口もとを両手で覆った。
嬉しくて嬉しくて、自分のようなものがこんなに幸せを感じていいのかと戸惑うほどに幸せで。瞳に溢れた涙が、とめどなく頬を濡らす。
「はい、喜んで……」
「わかった」
そう答えたカイルの口もとには、優しげな微笑が浮かんでいた。
だが、初めて見るカイルの無垢な微笑みにアメリが心を奪われたのは一瞬だった。
立ち上がったカイルが、アメリの前に片膝を付いたからだ。
「カイル様……!?」
アメリは、慌てふためいた。片膝を付くのは、服従の証だ。決して、カイルのような身分の人間が一介の伯爵令嬢にする行為ではない。
アメリの動揺を意に介すこともなく、カイルは落ち着いた表情で胸に手を当てる。
「私、カイル・エリオン・アルバーンは誓います。一生をかけて、あなたを守り抜くことを」
凛とした言葉の響きに吸い込まれるように、アメリの動揺が消えて行く。
「だからどうか、私にあなたとの結婚をお許しください」
遠く聞こえるヴァイオリンの音も、宵風の音も、緑葉から滴る夜露の音も。
この世の全てが、その瞬間音を失った。
アメリの耳を支配するのは、心地良い波長を奏でるカイルの声のみだった。
こちらに真っすぐ向けられる天色の瞳から、金縛りにあったかのように目を離せない。
アメリは、震える口もとを両手で覆った。
嬉しくて嬉しくて、自分のようなものがこんなに幸せを感じていいのかと戸惑うほどに幸せで。瞳に溢れた涙が、とめどなく頬を濡らす。
「はい、喜んで……」