獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
第七章 終わらない愛の囁き

翌日、馬に乗った騎士団の一行は、民衆に見送られながら遠くクロスフィールド王国に旅立った。


カイルがいなくなった寂しさは、予想以上のものだった。


けれど、アメリはくよくよしなかった。しっかりと前を見据え、今まで以上にステンドグラス作りに精を出すようになる。




日に日に、ステンドグラスは仕上がっていった。


薔薇色、若菜色、萌黄色。


群青色、臙脂色、秋桜色。


模った無色透明のガラスが、アメリが調合した色鮮やかな染料に次々と染められていく。


ミハエル老人の描くステンドグラスの絵も、見事だった。リエーヌの町並み、草原を駆ける馬、天を舞う天使達。あと三ヶ月もすれば、全てのステンドグラスが仕上がる勢いだ。


シルビエ大聖堂の改修は、ステンドグラスの取り換えだけにとどまらなかった。いつしか大聖堂には毎日のように人々が集まり、内部も整備されていった。


布屋が椅子の布地を張り替え、左官屋が壁を塗り替えていく。女たちは埃だらけの内部を隅々まで掃除した。


カイルの戦略の成功を、誰もが願っていた。人々の平和への願いが強まるにつれ、シルビエ大聖堂は見違えるほど美しくなっていく。





そして気づけば、騎士団の一行がロイセン城を発ってから、一ヶ月近くが経っていた。
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