獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
クロスフィールド王国に侵入した騎士団がどうなったのか、情報は遠く離れたこの地には全く入って来なかった。
ロイセン城からクロスフィールドまでは、馬で一週間の距離だ。往復で考えても、そろそろ戻ってこないと不自然な時期に差し掛かっていた。
城で働く人々や町の人々の顔に、次第に焦りが浮かんでくる。
それでも、アメリはあきらめなかった。
そして、カイルのことを想いながら、城にある小さな礼拝堂で朝晩欠かさず祈り続けた。
騎士団が出発してちょうど一ヶ月目の夕方も、アメリは王城内の礼拝堂にいた。
居館の隅にある礼拝堂は広めの客間ほどの大きさで、供物や燭台の並んだ小さな祭壇があるだけの簡素な造りだ。それ以外は何もなく、白亜の石壁に囲まれた空間が広がっている。
小さな天窓からは茜色の光が降り注ぎ、祭壇の前に光を落としていた。
厳かな空気の中でアメリが一心に祈りを捧げていると、何者かが扉を開けて中に入ってきた。
聖職者の黒服に身を包み、胸もとでロザリオを光らせたレイモンド司祭だ。
祭壇の前にいるアメリに気づくと、レイモンド司祭はいつになく神妙な顔をした。
ロイセン城からクロスフィールドまでは、馬で一週間の距離だ。往復で考えても、そろそろ戻ってこないと不自然な時期に差し掛かっていた。
城で働く人々や町の人々の顔に、次第に焦りが浮かんでくる。
それでも、アメリはあきらめなかった。
そして、カイルのことを想いながら、城にある小さな礼拝堂で朝晩欠かさず祈り続けた。
騎士団が出発してちょうど一ヶ月目の夕方も、アメリは王城内の礼拝堂にいた。
居館の隅にある礼拝堂は広めの客間ほどの大きさで、供物や燭台の並んだ小さな祭壇があるだけの簡素な造りだ。それ以外は何もなく、白亜の石壁に囲まれた空間が広がっている。
小さな天窓からは茜色の光が降り注ぎ、祭壇の前に光を落としていた。
厳かな空気の中でアメリが一心に祈りを捧げていると、何者かが扉を開けて中に入ってきた。
聖職者の黒服に身を包み、胸もとでロザリオを光らせたレイモンド司祭だ。
祭壇の前にいるアメリに気づくと、レイモンド司祭はいつになく神妙な顔をした。