獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
さらなる混乱をきたさないよう、その情報は上層部にしか出回らないように最善の注意がなされ、極秘に調査が行われた。
けれども、朝食に毒物を混入するすることが可能だった調理人や侍女に厳しく尋問をしても、間者らしき者は出て来なかった。
翌日、ある侍女の発言で事態は新たな展開を見せる。
王に出された食事は本来は王のものではなく、カイルに運ばれるものだったことが判明したからだ。
「アメリ様の寝室におられるカイル殿下のもとに運ぼうと、お盆に乗せて厨房の隅に置いていたのです。けれどもちょっと手を離した隙に、別の者が陛下の食事と勘違いして持って行ってしまって……。だけど食事の内容はほぼ一緒だし、問題ないかなと思ってそのままにしていたのです……」
罰せられるのを、怖れていたのだろう。まだ少女のようなあどけなさの残るその侍女は、一日を経てようやく涙声でことのあらましを告白した。
毒見は、王の食事のみされる。カイルの食事と王の食事が取り違えられたことで、現国王が毒殺されるというあってはならない事態が起こってしまった。
そのことを懇意にしている侍女伝いに耳に挟んだアメリは、恐ろしさのあまり気を失いそうになった。
狙われていたのは、王ではなくカイルだったのだ。
否応なしにカイルの死を予言した古書の内容が脳裏を過り、アメリはどうしようもなく震えた。
(まさか、本当にカイル様は……)
カイルの死など、考えたくはない。けれども考えざるを得ない状況に追い込まれ、アメリは息をするのすらままならないほどの不安に苛まれた。
けれども、朝食に毒物を混入するすることが可能だった調理人や侍女に厳しく尋問をしても、間者らしき者は出て来なかった。
翌日、ある侍女の発言で事態は新たな展開を見せる。
王に出された食事は本来は王のものではなく、カイルに運ばれるものだったことが判明したからだ。
「アメリ様の寝室におられるカイル殿下のもとに運ぼうと、お盆に乗せて厨房の隅に置いていたのです。けれどもちょっと手を離した隙に、別の者が陛下の食事と勘違いして持って行ってしまって……。だけど食事の内容はほぼ一緒だし、問題ないかなと思ってそのままにしていたのです……」
罰せられるのを、怖れていたのだろう。まだ少女のようなあどけなさの残るその侍女は、一日を経てようやく涙声でことのあらましを告白した。
毒見は、王の食事のみされる。カイルの食事と王の食事が取り違えられたことで、現国王が毒殺されるというあってはならない事態が起こってしまった。
そのことを懇意にしている侍女伝いに耳に挟んだアメリは、恐ろしさのあまり気を失いそうになった。
狙われていたのは、王ではなくカイルだったのだ。
否応なしにカイルの死を予言した古書の内容が脳裏を過り、アメリはどうしようもなく震えた。
(まさか、本当にカイル様は……)
カイルの死など、考えたくはない。けれども考えざるを得ない状況に追い込まれ、アメリは息をするのすらままならないほどの不安に苛まれた。