獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
闇は、どこまでも続いた。


太陽の光も、月の光も、もう思い出せない。


ステンドグラスの輝きも、シャンデリアの輝きも、ガラス玉の輝きも、何もかもを忘れてしまった。


自分が何者なのか、どんな形をしているのかすら、分からなくなってしまいそうだ。


アメリは震えながら、それでも前を目指す。


ただひたすらに、愛しい人の姿だけを求めて。




その時だった。


アメリは、闇の彼方にキラリと光る何かを見つけた。


「ガラス……?」


自然と、急ぎ足になる。


キラリとした輝きは、近づくにつれ一つまた一つと色を増していく。


珊瑚色、若草色、空色、菫色、金糸雀色――。







『……アメリ』


愛しい声が、光の中から聞こえた。


まるで、光が声を発しているようだ。近いようで遠い、そんな声だった。


アメリは、声のする方向へと必死に駆け出した。

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