獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
「恐れながら、殿下。この子は、まだほんの子供です。そのような仕打ちは、幾らなんでもやり過ぎにございます」
突然のアメリの出現に、カイルは驚いたように口を閉ざした。けれどもすぐに首を傾げ、アメリを侮蔑するような声を出す。
「お前、まだいたのか」
アレクに向けられた声とは比較にならないほど、ぞっとする冷え切った声。すると、カイルは手にしたままの剣を、今度はアメリに向けて突き出した。想像を絶する光景に、辺りの騎士達がざわつく。
冷たい剣の感触が、アメリの頬に触れた。恐怖で、アメリの全身が引きつる。
「生意気な女だ。初めて見た時から、今までの女の誰よりも気に食わなかった」
切っ先がアメリの皮膚を傷つけないぎりぎりの強さで、頬から首筋へと流れていく。粗末なドレスの胸もとで、カイルは剣を止めた。
「今すぐにその服を切り裂いて、この場にいる全員に醜態を晒してやろうか。それともその顔に、醜い傷をつけてやろうか」
あまりの恐ろしさに、アメリは身じろぐことすら出来ない。目を見開き、表情の見えない鉄兜を凝視するのが精いっぱいだった。
――悪魔。
目の前にいるこの男は、正真正銘の悪魔だ。無慈悲で、優しさの欠片もない。
その時、疾風のごとくアメリの目の前に立ちはだかった者がいた。
揺れる、ブラウンの髪。ヴァンだ。
「この方を傷つけるというのなら、私が容赦しません。例え、相手があなたでも」
ヴァンのすごんだ声に、緊迫感がより一層つのる。
突然のアメリの出現に、カイルは驚いたように口を閉ざした。けれどもすぐに首を傾げ、アメリを侮蔑するような声を出す。
「お前、まだいたのか」
アレクに向けられた声とは比較にならないほど、ぞっとする冷え切った声。すると、カイルは手にしたままの剣を、今度はアメリに向けて突き出した。想像を絶する光景に、辺りの騎士達がざわつく。
冷たい剣の感触が、アメリの頬に触れた。恐怖で、アメリの全身が引きつる。
「生意気な女だ。初めて見た時から、今までの女の誰よりも気に食わなかった」
切っ先がアメリの皮膚を傷つけないぎりぎりの強さで、頬から首筋へと流れていく。粗末なドレスの胸もとで、カイルは剣を止めた。
「今すぐにその服を切り裂いて、この場にいる全員に醜態を晒してやろうか。それともその顔に、醜い傷をつけてやろうか」
あまりの恐ろしさに、アメリは身じろぐことすら出来ない。目を見開き、表情の見えない鉄兜を凝視するのが精いっぱいだった。
――悪魔。
目の前にいるこの男は、正真正銘の悪魔だ。無慈悲で、優しさの欠片もない。
その時、疾風のごとくアメリの目の前に立ちはだかった者がいた。
揺れる、ブラウンの髪。ヴァンだ。
「この方を傷つけるというのなら、私が容赦しません。例え、相手があなたでも」
ヴァンのすごんだ声に、緊迫感がより一層つのる。