獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
(この人は、どうしてこんな哀しげな目をしているのかしら)
言葉や態度とは裏腹に、瞳が泣いていると思った。それを隠そうと、鋭く尖らせているようにも見える。まるで、傷ついた獣のようだ。
金糸雀色に輝く、人を寄せ付けない、孤独な獣。
それは、ほんの出来心だった。
気づけばアメリは白い手を伸ばし、目の前にある金糸雀色の頭を胸に引き寄せていた。
深く深く、愛しむように抱きしめる。
これ以上、この獣が傷つかないように。
「――私は、あなたを許します」
もしもこの人が本当に”最後の希望”ならば、私に何が出来るだろう。カイルを胸に抱きしめながら、アメリは考えていた。
悪魔と呼ばれる表の顔と、か弱きものを愛しむ裏の顔。剣を振る時の猛々しい所作、哀しい眼差し。
この獣は、とてもアンバランスで危うい。けれども彼は、選ばれた人間だ。このまま、朽ち果ててはいけない。アメリの直感が、そう言っている。
――『本当に美しいものはね、普段は輝きを隠しているものなのよ』
懐かしい母の声が、耳に蘇る。
『その真の美しさを引き出すのは、職人の腕次第ね』
言葉や態度とは裏腹に、瞳が泣いていると思った。それを隠そうと、鋭く尖らせているようにも見える。まるで、傷ついた獣のようだ。
金糸雀色に輝く、人を寄せ付けない、孤独な獣。
それは、ほんの出来心だった。
気づけばアメリは白い手を伸ばし、目の前にある金糸雀色の頭を胸に引き寄せていた。
深く深く、愛しむように抱きしめる。
これ以上、この獣が傷つかないように。
「――私は、あなたを許します」
もしもこの人が本当に”最後の希望”ならば、私に何が出来るだろう。カイルを胸に抱きしめながら、アメリは考えていた。
悪魔と呼ばれる表の顔と、か弱きものを愛しむ裏の顔。剣を振る時の猛々しい所作、哀しい眼差し。
この獣は、とてもアンバランスで危うい。けれども彼は、選ばれた人間だ。このまま、朽ち果ててはいけない。アメリの直感が、そう言っている。
――『本当に美しいものはね、普段は輝きを隠しているものなのよ』
懐かしい母の声が、耳に蘇る。
『その真の美しさを引き出すのは、職人の腕次第ね』