獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
そうやって時が流れ、アメリがこの城に着て二週間が過ぎようとしていた。
その頃には、アメリも城での生活に慣れ、次第に顔見知りも増えていた。
ある日の昼過ぎ、庭仕事の道具を押し車に乗せ納屋に運んでいると、芝生の上で休憩中の若い騎士たちが次々に声をかけてきた。
「アメリ様、こんにちは」
「これからどちらへ?」
公衆の面前でカイルに盾ついて以来、騎士達の間ではアメリはちょっとした人気者になっていた。あの悪名高き王太子に面と向かって立ち向かう女など、前代未聞だからだ。
最近では、騎士達と出くわす度にこうやって我先にと話しかけられる。
「皆さん、こんにちは。道具を片付けるために、納屋に向かっているところです」
アメリがにこりと微笑めば、「それなら、俺が運びます!」と次々に手が上がる。
「お気持ちはありがたいですが、私の仕事ですので……」
厳しい訓練に明け暮れる兵士たちの束の間の休息を、邪魔してはいけない。アメリはやんわりと断ろうとしたが、それでも次々とアメリに群がる騎士達は、退く様子がなかった。
「アメリ様。そいつらは力が有り余ってる。ここは一つ、甘えてみてはいかがですか?」
困惑しているアメリをからかうように助言をくれたのは、いつの間にか近くにいたヴァンだった。
ヴァンは、すっかり騎士達とも打ち解けているようだ。思慮深く頼りがいのある彼は、昔から女だけでなく男からもモテる。
こうやって騎士達がアメリに気軽に話しかけてくれるのは、アメリとヴァンが主従関係にあるところも大きいだろう。
「ヴァン……」
温もりを閉じ込めたヴァンのブラウンの瞳を見ると、アメリは肉親に会ったかのような安心感を得る。
「美しい女性に感謝されることは、休息の何倍も疲れがとれる。そいつらのためにも、手伝わせてあげてください」
その頃には、アメリも城での生活に慣れ、次第に顔見知りも増えていた。
ある日の昼過ぎ、庭仕事の道具を押し車に乗せ納屋に運んでいると、芝生の上で休憩中の若い騎士たちが次々に声をかけてきた。
「アメリ様、こんにちは」
「これからどちらへ?」
公衆の面前でカイルに盾ついて以来、騎士達の間ではアメリはちょっとした人気者になっていた。あの悪名高き王太子に面と向かって立ち向かう女など、前代未聞だからだ。
最近では、騎士達と出くわす度にこうやって我先にと話しかけられる。
「皆さん、こんにちは。道具を片付けるために、納屋に向かっているところです」
アメリがにこりと微笑めば、「それなら、俺が運びます!」と次々に手が上がる。
「お気持ちはありがたいですが、私の仕事ですので……」
厳しい訓練に明け暮れる兵士たちの束の間の休息を、邪魔してはいけない。アメリはやんわりと断ろうとしたが、それでも次々とアメリに群がる騎士達は、退く様子がなかった。
「アメリ様。そいつらは力が有り余ってる。ここは一つ、甘えてみてはいかがですか?」
困惑しているアメリをからかうように助言をくれたのは、いつの間にか近くにいたヴァンだった。
ヴァンは、すっかり騎士達とも打ち解けているようだ。思慮深く頼りがいのある彼は、昔から女だけでなく男からもモテる。
こうやって騎士達がアメリに気軽に話しかけてくれるのは、アメリとヴァンが主従関係にあるところも大きいだろう。
「ヴァン……」
温もりを閉じ込めたヴァンのブラウンの瞳を見ると、アメリは肉親に会ったかのような安心感を得る。
「美しい女性に感謝されることは、休息の何倍も疲れがとれる。そいつらのためにも、手伝わせてあげてください」