獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
「………」


「……なんだ?」


真横からじっと見つめるアメリに、カイルが鎧兜の顔を向けてくる。


「……まだ、鎧兜を被っていらっしゃるのだと思いまして」


「……俺の勝手だろう」


「私は、この国の後継者であるあなたに、コソコソと隠れるような真似はして欲しくありません」


「……なんだと?」


すごんだカイルの声にも、アメリは怖気づかなかった。


「素顔も見せずに、どうして戦地に赴く騎士達を戒めることが出来ましょう」


「……お前に、俺の何が分かる」


「そうですね。私には、あなたの考えていることがさっぱり分かりません。でも、だからこそ……」


アメリは、小さく息を吸い込んだ。


「あなたのことを……知りたい、と思っています。だから、鎧兜を被るのはもうやめて欲しいのです」


声が震えたのは、それがアメリの強い願いだったからだ。


この傷ついた獣を、重い鎧兜から解放してあげたい。


少しでも、あなたに近づきたい。


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