獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
再び悪夢にうなされるのが怖くて、それ以降はなかなか寝付けれなかった。


部屋にいることすら苦しくなり、アメリは火を灯した燭台すら持たずに廊下に出る。


夜風に当たれば、気持ちが落ち着くかもしれない。





辿り着いたのは、見張り塔の扉の前に広がる中庭だった。


以前、カイルがアレクに声を掛けていた場所だ。


緩やかな夜風が、庭の草や木々を撫でるように揺らしている。


少し肌寒いが、今はその肌寒さが心地よく思えた。


ノースリーブのネグリジェ姿のまま、アメリは噴水へと近づいた。


けれど、回廊から中庭へと数歩歩んだところで、ピタリを足を止める。


噴水の脇にカイルが座り、夜空を見上げていたからだ。


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