獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
「――俺は、お前と結婚するつもりはない。それは、この先も変わらない」
アメリの顔を見ないままに吐き出された言葉は、先ほどの熱が嘘のように冷え切っていた。
「だから、このままお前がここにいても無駄だ」
カイルの態度の変化についていけないアメリは、凍ったように固まることしか出来ない。
「二、三日中にはここを出て行け。あの、護衛の騎士を連れて」
素っ気なく言い放つと、カイルは立ち上がった。
「でも、私は――」
「お前が出て行かないのなら、ウィシュタット伯爵に連絡して迎えを寄越させる」
アメリの言葉をピシャリと遮り、カイルは言った。
そして、微かにアメリを振り返る。
月明かりに照らされたその顔には、いつもの他人をあざ笑うような笑みが浮かんでいた。
アメリには、最早返す言葉がなかった。
今のカイルが、全力でアメリを拒絶しているのが分かったからだ。
アメリが何も言わないのを見届けると、カイルはアメリをその場に残し、居館の方へと消えて行った。
アメリの顔を見ないままに吐き出された言葉は、先ほどの熱が嘘のように冷え切っていた。
「だから、このままお前がここにいても無駄だ」
カイルの態度の変化についていけないアメリは、凍ったように固まることしか出来ない。
「二、三日中にはここを出て行け。あの、護衛の騎士を連れて」
素っ気なく言い放つと、カイルは立ち上がった。
「でも、私は――」
「お前が出て行かないのなら、ウィシュタット伯爵に連絡して迎えを寄越させる」
アメリの言葉をピシャリと遮り、カイルは言った。
そして、微かにアメリを振り返る。
月明かりに照らされたその顔には、いつもの他人をあざ笑うような笑みが浮かんでいた。
アメリには、最早返す言葉がなかった。
今のカイルが、全力でアメリを拒絶しているのが分かったからだ。
アメリが何も言わないのを見届けると、カイルはアメリをその場に残し、居館の方へと消えて行った。