獣な次期国王はウブな新妻を溺愛する
見つめ合う二人。無言の攻防戦は、大聖堂の鐘が正午を告げるまで続いた。
やがて、ようやくヴァンがふっと口もとを緩める。
「やれやれ。どうやら、あなたの意志は相当に固いようだ」
そう言うと、ヴァンはアメリが手にしていた鞄を取り上げ、ドアを開ける。
「美しい女性を、どんな輩がいるかもしれない城下町に一人で放り出すことなど、俺には出来ません。俺もお供いたします」
「ヴァン……」
「働き者の、町の女を愛でるのも悪くない」
いつものように冗談を吐くと、ヴァンはアメリより先に馬車を降りた。
そして、御者に告げる。
「お前は、一人で帰れ。ウィシュタット伯爵には、予定が変更になり滞在日数が増えたと伝えろ。ほとぼりが冷めたら、こちらで馬車を手配して戻る」
やがて、ようやくヴァンがふっと口もとを緩める。
「やれやれ。どうやら、あなたの意志は相当に固いようだ」
そう言うと、ヴァンはアメリが手にしていた鞄を取り上げ、ドアを開ける。
「美しい女性を、どんな輩がいるかもしれない城下町に一人で放り出すことなど、俺には出来ません。俺もお供いたします」
「ヴァン……」
「働き者の、町の女を愛でるのも悪くない」
いつものように冗談を吐くと、ヴァンはアメリより先に馬車を降りた。
そして、御者に告げる。
「お前は、一人で帰れ。ウィシュタット伯爵には、予定が変更になり滞在日数が増えたと伝えろ。ほとぼりが冷めたら、こちらで馬車を手配して戻る」