世界を変えられないけれど。
 男は、あっと声をあげた。

 兵士の目にうつったのは、

 白く、黒い人の影。


 光を放ち、光を失う。


 手を伸ばすと届きそうな天使の影に、

 男は、手を伸ばす。


 羽根が揺れ、ふわりと影は舞いあがる。





 ああ、いったい誰が、この光を知っていようか。



 天上から漏れるに等しく

 地の泥に濁りつつ


 どんな白より清浄で

 どんな濁りより哀しみに沈み





 男は、肩にかかった羽根を見る。

 白い羽根。

 黒い羽根。
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