能ある狼は牙を隠す
*
「白さーん! 勉強教えて!」
模試も来週に控えたある日の昼休み。
カナちゃんとあかりちゃんと三人でいつも通り喋っていたら、九栗さんが突然駆け寄ってきた。
「え、えっと、私じゃ力不足だと思うよ?」
「またまたぁ! 最近休み時間も勉強してて熱心だなって思ってたの。まあ模試は正直どうでも良くて、テストの方がやばいんだけどね」
おちゃらけた様子で声を張る彼女。
どうやら私の言葉を謙遜として受け取ったみたいだ。
「あー……九栗さん、気持ちはすごく分かるんだけど、羊ってほんとに勉強できないから……」
遠慮なく私を論評するカナちゃんに、九栗さんは「えっ」と目を見開く。
「そうなの? 白さん真面目だから、てっきり成績いいのかと……」
「見た目からして優等生だしね、分かるよ……私も一年生の頃そう思ってた……」
と、二人が生暖かい視線をこちらに送ってくる。
分かる、分かるよ……勉強も頑張って人並みだし、スポーツはだめだめだし、一体私に何の取り柄があるんだろうね……。
「あ、九栗さん。もし良かったら、放課後一緒に勉強しない?」
「白さーん! 勉強教えて!」
模試も来週に控えたある日の昼休み。
カナちゃんとあかりちゃんと三人でいつも通り喋っていたら、九栗さんが突然駆け寄ってきた。
「え、えっと、私じゃ力不足だと思うよ?」
「またまたぁ! 最近休み時間も勉強してて熱心だなって思ってたの。まあ模試は正直どうでも良くて、テストの方がやばいんだけどね」
おちゃらけた様子で声を張る彼女。
どうやら私の言葉を謙遜として受け取ったみたいだ。
「あー……九栗さん、気持ちはすごく分かるんだけど、羊ってほんとに勉強できないから……」
遠慮なく私を論評するカナちゃんに、九栗さんは「えっ」と目を見開く。
「そうなの? 白さん真面目だから、てっきり成績いいのかと……」
「見た目からして優等生だしね、分かるよ……私も一年生の頃そう思ってた……」
と、二人が生暖かい視線をこちらに送ってくる。
分かる、分かるよ……勉強も頑張って人並みだし、スポーツはだめだめだし、一体私に何の取り柄があるんだろうね……。
「あ、九栗さん。もし良かったら、放課後一緒に勉強しない?」