能ある狼は牙を隠す
*
日陰になる場所を陣取って、試合を観戦すること一時間。
合間の休憩に水分補給をしていると、見知った顔が近づいてきた。
「あ、白さんと西本さんも来てたんだ! 眞鍋さんの応援?」
いつも女子三人で行動しているのをよく見かけるその子たちは、夏休み前に男子も混じえてお祭りに行こうと話していた気がする。
リア充め、と妬みのこもった視線をひた隠して、私は愛想笑いで誤魔化す。
羊はというと、珍しく引きつった笑顔で「そうだよ」と答えていた。
「それにしてもびっくりだったよね。まさか白さんと狼谷くんが付き合ってたなんて!」
瞬間、場の空気が凍りつく。
お構いなしに盛り上がっている女子三人は、ご丁寧に説明してくれた。
羊と狼谷くんが二人で風鈴祭りに行っていたこと。仲良く手を繋いでいたこと。
言葉が出ない私に、隣から声が上がった。
「ち、違うよ! あれはね、そういうんじゃなくて、たまたまで……」
「あはは。照れなくていいのに! あれで付き合ってないってのは無理があるよー!」
日陰になる場所を陣取って、試合を観戦すること一時間。
合間の休憩に水分補給をしていると、見知った顔が近づいてきた。
「あ、白さんと西本さんも来てたんだ! 眞鍋さんの応援?」
いつも女子三人で行動しているのをよく見かけるその子たちは、夏休み前に男子も混じえてお祭りに行こうと話していた気がする。
リア充め、と妬みのこもった視線をひた隠して、私は愛想笑いで誤魔化す。
羊はというと、珍しく引きつった笑顔で「そうだよ」と答えていた。
「それにしてもびっくりだったよね。まさか白さんと狼谷くんが付き合ってたなんて!」
瞬間、場の空気が凍りつく。
お構いなしに盛り上がっている女子三人は、ご丁寧に説明してくれた。
羊と狼谷くんが二人で風鈴祭りに行っていたこと。仲良く手を繋いでいたこと。
言葉が出ない私に、隣から声が上がった。
「ち、違うよ! あれはね、そういうんじゃなくて、たまたまで……」
「あはは。照れなくていいのに! あれで付き合ってないってのは無理があるよー!」