能ある狼は牙を隠す
展示となると、お化け屋敷や迷路等々。当日までクラス全員で物作りに追われる。
飲食は割と楽ではあるけれど、一学年八クラスある中で、三クラスまでしかやってはいけないことになっている。希望が被ったら公平にくじ引き。この三枠の争奪戦が毎年熾烈だ。
「はい、じゃあ第一希望は飲食で出します」
当然というべきか、余程マニアックなクラスじゃない限り大体どこも第一希望は飲食で出す。
ほぼ無意味の多数決を行って、坂井くんは流れるようにプリントへ書き込んだ。
数日後、幸運なことにうちのクラスは飲食の枠を勝ち取って、「森の中のカフェ」というテーマで進めていくことに決まった。
買い出し係や装飾担当なども割り振られて、本格的に準備が始まった。
「は〜〜〜、疲れたぁ」
ぐで、と机に突っ伏して思わず愚痴を零す。
そんな私の様子に苦笑して、カナちゃんは「お疲れ様」と労ってくれた。
昨日は休み明け最初の委員会だったというのに、初っ端から大量のプリントを配られて、全部に目を通すように言われて。
それから各クラスのポスターを作ったり、パンフレットのデザインの候補をあげたり、目まぐるしい時間だった。
「羊ちゃん」