~白の恋~
イルカショーを見て、アシカショーも見て。
気付けば3時半だった。
「全部回ったし、そろそろ出るか。」
「そうだね!」
竜也がトイレに行く。
(チケットもお昼も出してもらったし、これからまた高速で運転してもらうし、飲み物買っておこう。)
出口付近に併設されているカフェでコーヒーとミルクティーをテイクアウトする。
と、その時。
ポン
「ねぇ、君可愛いね!」
ゾクッ
カップを手に2つ、持ったまま動けない。
あの時の光景が蘇る────。
首元に押し付けられたナイフ、肩に回る太い腕、
・・・耳元で呟かれる声。
『なぁ、華・・・。俺には華しかいない。華だって俺のこと好きだろ?だからさ・・・俺とやり直すよな・・・?』