恋と、キスと、煙草の香り。

ーーーーープルルルル…


携帯の着信音が響き渡る。
画面を見ると知らない番号。
誰だ?

『はい』

『新…っ!』

久しぶりの声に、俺の心臓が大きく跳ねた。

『…もしかして、環か?』

本当に…本当に環なのか?
良かった、無事だったのか。

『いまどこだ?』

『お願い新、助けて…いま、マンションの部屋に監禁されてるの!6日前からずっと…!』

クソッ!
やっぱりあの男、環を監禁してやがったな!

『マンションの場所は?わかるか!?』

『××町のレイク…』

『レイクサイドマンション××駅前2001号室』

環の声と被せて、憎い男の声が聞こえた。
小松原も居やがったのか!
環は隙を見て俺に電話をしてきたのか?

『ちなみに監禁なんかじゃないよ。心外だなあ』

『監禁じゃなかったら何だって言うのよ』

『同棲でしょ?』

何が同棲だ!
携帯を思いっきり壁に投げつけたくなる衝動に駆られた。
嫌みったらしい声に殺意らしき感情を抱きながらも、環を助けるために俺は部屋を出て走り出す。

××町なら10分くらいで走っていける距離だ。
環…待っててくれ。


< 100 / 107 >

この作品をシェア

pagetop