恋と、キスと、煙草の香り。
「そいつと付き合うのか!?前科者だぞ?」

私は颯さんの声に足を止める。
新の方を見るとうつ向いて、暗い表情をしていた。

新は”罪を犯した”という重い鎖を、ずっと背負って生きてきたのね。

「新はちゃんと償ったの。
反省だってしてる。
必死にやり直そうとしているの。
私を騙したあなたが”前科者”なんていう資格はない!もう私たち終わったんだから、私が今後どうなろうと、あなたには関係ないわ!」

私がそう言うと、颯さんは表情を歪めて思いっきり床を叩いた。
私はそんな彼に背を向け、ドアの方へ向かう。



颯さんが何かを叫んでいたけれど、私はもう決して振り返らずに玄関のドアを閉めた。
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