恋と、キスと、煙草の香り。
「ちょっと!どこまでいくの?」
「もうすぐ着く」
バイクで道路を30分ほど走ると坂道に差し掛かった。
それから山を少し登ったあと、頂上付近の駐車場で降ろされた。
彼は一言”歩くぞ”と言い放ち、私の腕をとって歩き始めた。
それから15分ほど歩いたか。
まだ私たちは森の中を歩き続けている。
今日は高めのハイヒールを履いているので足が痛くなってきている。
踵が痛い。
靴擦れを起こしているのかもしれない。
”もう歩けない”
うつ向き、そう切り出そうとしたときだった。
「着いた」
彼が足を止め、そう言った。
私はその言葉を聞き、顔を上げる。
「え…」