恋と、キスと、煙草の香り。
まさかこんなに早く帰ってきているなんて。
私は緊張した面持ちで、エレベーターに乗りながらため息をつく。
副社長室は11階。
エレベーターを降りて右に曲がるとすぐに副社長室がある。
私は”副社長室”と書かれたプレートが付いたドアの前で、一度深呼吸してからノックをする。
「どうぞ」
中から颯さんの声が聞こえてくる。
「失礼します」
ゆっくりとドアを開けると、窓側にあるデスクに座りパソコンの画面を真剣に見つめる颯さんの姿が目に入る。
いつも会っている人なのに、副社長室で会うと別人のように感じる。
颯さんは仕事モードとプライベートでは顔つきが変わる。
そのギャップにドキッとする。
「あ…環!」
颯さんが顔を上げると、先程の表情と変わり柔らかい笑顔になる。
椅子から立ちあがり、私のほうへと歩いてくる。
「部長に頼まれて資料をもってきたの」
資料を手渡すと、颯さんが私の顔を見つめていることに気づく。
「…どうしたの?」
「火曜ぶりだなって思って」
颯さんはそう言って微笑む。
「帰ってくるの明日じゃなかったの?」
「ああ、仕事が早めに片付いてね。朝の新幹線で帰ってきたんだ。環を驚かせようと思ってたのに気づかれちゃったね」
昨日の今日で複雑な気持ちになる。
颯さんに合わせる顔がない。
私は緊張した面持ちで、エレベーターに乗りながらため息をつく。
副社長室は11階。
エレベーターを降りて右に曲がるとすぐに副社長室がある。
私は”副社長室”と書かれたプレートが付いたドアの前で、一度深呼吸してからノックをする。
「どうぞ」
中から颯さんの声が聞こえてくる。
「失礼します」
ゆっくりとドアを開けると、窓側にあるデスクに座りパソコンの画面を真剣に見つめる颯さんの姿が目に入る。
いつも会っている人なのに、副社長室で会うと別人のように感じる。
颯さんは仕事モードとプライベートでは顔つきが変わる。
そのギャップにドキッとする。
「あ…環!」
颯さんが顔を上げると、先程の表情と変わり柔らかい笑顔になる。
椅子から立ちあがり、私のほうへと歩いてくる。
「部長に頼まれて資料をもってきたの」
資料を手渡すと、颯さんが私の顔を見つめていることに気づく。
「…どうしたの?」
「火曜ぶりだなって思って」
颯さんはそう言って微笑む。
「帰ってくるの明日じゃなかったの?」
「ああ、仕事が早めに片付いてね。朝の新幹線で帰ってきたんだ。環を驚かせようと思ってたのに気づかれちゃったね」
昨日の今日で複雑な気持ちになる。
颯さんに合わせる顔がない。