恋と、キスと、煙草の香り。
「大丈夫なのか。送らなくて」
「うん。看病してくれたお陰でだいぶん良くなったし」
私の熱が少し引いてきた頃、私たちはホテルを出た。
彼は送ると言ってくれたが、私はそれを断る。
「それにこれ以上迷惑かけれないわ」
家族に新と歩いているのを見られたらさすがにまずい。
実家まで送ってもらうわけには行かない。
「…そうか。じゃあ家着いたら連絡して。無事に着いたか知りたいから。いま俺の携帯番号教えるから登録しといて」
そう言って彼はポケットからメモとペンを取り出し、番号を書いて私に渡す。
「じゃあな、環」
「うん」
彼の背中が見えなくなるまで、彼の背中をずっと見つめていた。
彼の言葉にどうしようもなく胸がときめく。
彼に惹かれている自分がいる。
新…次はいつ会える?