恋と、キスと、煙草の香り。
好きになっちゃだめなひと
彼のことが好き。
遠ざかっていく彼の背中に向かって走る。
「あらた…っ!」
私は振り返った彼の胸に勢いよく飛び込んだ。
「環?どうした」
不思議そうに声をかける彼の背中に手を回す。
もう、彼を好きな気持ちに歯止めがきかなかった。
「あらた…私、新のことが好きよ」
涙で視界がぼやけていく。
誰かを好きになるのがこんなに激しい感情だなんて知らなかった。
「新にとって私が…遊びでも、私は…わたしは…っ…」
大粒の涙が頬を伝い、こぼれ落ちる。
今まで溜め込んでいた感情が一気に溢れだす。
彼の服を濡らしてしまう。
涙を止めなきゃと何度も手で拭ってもどうしても止まらない。
「たまき…」
「ごめんなさい…っ!でも好きだから…知っててほしかったの」
フラれる。
そう思って思わず彼の声を遮る。
聞いたら終わってしまう。
「迷惑…よね」
彼の困惑する表情に私は我にかえる。
自分勝手に想いを伝えて、号泣して、私何してるんだろう。