恋と、キスと、煙草の香り。
新…
いま新はどうしているだろう。
約束の日は明日。
それまでに絶対ここを抜け出さなければ。
でもどうやって…
そんなことを考えていたときだった。
ーーーーーープルルルル!
急にそんな音が響き渡り、私は心臓が飛び出そうになる。
な、何?
私は恐る恐るその音のほうに近づいていくと、ソファの下にブルーの携帯電話が落ちていた。
颯さんの仕事用の携帯電話だった。
画面には”⚪×商事の鈴木さん”と表示されている。
しばらく見つめていると音が止まり、不在着信1件と表示された。
颯さんが持っていくのを忘れてしまったのかしら。
ソファの下に落ちていたから気づかなかったのね。
携帯電話を握りしめ、私は思う。
これはここから出るチャンスだ。
私は携帯画面の電話ボタンを押し、電話番号を入力し通話ボタンを押す。
お願い、繋がって…
しばらく呼び出し音が続いたあと、それが途切れる音が聞こえた。