恋と、キスと、煙草の香り。
「レイクサイドマンション××駅前2001号室」

そう後ろから声が聞こえた。

私はさっと血の気が引いた。
戻ってくるかもと思っていたけれど、こんなに早かったなんて。

私はゆっくりと振り向く。
背後には薄ら笑いを浮かべた颯さんが立っていた。
いつのまに部屋に入ってきたの?

「ちなみに監禁なんかじゃないよ。心外だなあ」

「監禁じゃなかったら何だって言うのよ」

「同棲でしょ?」

颯さんはそう言うと私から携帯を奪い、自分の耳に当てる。

「もしもし。初めまして”新くん”」

さっきの会話、聞かれてたのね。

『お前…!』

新は敵意剥き出しの声でそう言う。

「私は環の会社の副社長でもあり…婚約者でもある小松原颯と申します」

「もう婚約者なんかじゃない!」

私は叫ぶ。

『…環を解放しろ』

「それはできないな」

「きゃっ!」

私は押し倒され床に倒れこみ、その上に颯さんがのし掛かる。
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