恋と、キスと、煙草の香り。

「その男は……過去に…人を殺してる」



…え？

「嘘…」

私は驚きを隠せない。

「10代で少年院に入って…去年出所したばかりだ…」

それを聞いて私は新から離れ、後すざりをする。

過去に人を殺した。
それを聞いて納得した。
だから颯さんを殴るのにも躊躇いがなかったんだ。

「ほんとなの？新…」

そう訊ねると、新は大きな深いため息をつく。
そして口を開いた。

「そうだよ。16のときに人を殺した」

新は淡々とした声で言う。

「でも事故だったんだよ。揉み合ったときにそいつがバランスを崩して近くにあったブロックに頭ぶつけちまってさ。事故だっていたのに、信じてもらえずに少年院いき。ひでえよな」

１週間前、新も話があると言っていた。
このことだったのね。