恋と、キスと、煙草の香り。

キスをしたあとから、彼女への想いが増してとまらなくなった。

出所してから女ばかりの環境にいたのもあり、何度か店の女と寝ることもあったが、ただただ身体だけの関係で、恋愛なんかはじまることはなかった。

なのに数回会っただけの女に、会うだけで…キスをするだけでこんなに惹かれることなんて初めてだった。

彼女が笑うと、もっと見ていたいと思う。
この笑顔を俺だけに見せていてほしいと思う。

もう一度…あの唇に触れたい。



俺は携帯を手に取り、店に電話をかける。

『すみません。今日は店休ませてください』

そう言って通話を切ると、俺は家を出て彼女に会いに向かう。

携帯の待受をみると、今は17時20分。
いつ彼女がコンビニ前を通るかなんてわからないのに、俺はコンビニに走っていった。

次に会ったときは必ず連絡先を聞こう。
そう考えながら走っていた。
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