恋と、キスと、煙草の香り。
「それ、誘ってんの」
彼は鋭い眼差しで私の目を見つめている。
「え…」
”違う”って否定したいのに、言葉が出ない。
一瞬も目を逸らせない。
吸い込まれてしまいそうになる。
彼の右手が私の顎をぐいっと押し上げる。
唇が触れてしまいそう。
私は思わず目をぎゅっとつむった。
このまま唇が触れることを望んでいる私がいる。
婚約したばかりなのに。
このときの私は、颯さんっていう婚約者がいるということを忘れてしまっていた。
「なに目つむってるんだよ」
その言葉の後に、彼は私の顎から手を離した。
「もっと嫌がれよ。だからあんな奴らに絡まれるんだよ、馬鹿か」
彼の言葉で私は我にかえる。
なに期待してたの、私…!
恥ずかしくて顔が真っ赤に染まるのがわかった。
「さっさと帰れよ。もう絡まれても知らないからな」
彼はそう言い残し背を向け、今度こそ私の方を振り返らずにその場から立ち去っていった。
その場に残ったのは、くらくらするほどの煙草の香りだった。
彼は鋭い眼差しで私の目を見つめている。
「え…」
”違う”って否定したいのに、言葉が出ない。
一瞬も目を逸らせない。
吸い込まれてしまいそうになる。
彼の右手が私の顎をぐいっと押し上げる。
唇が触れてしまいそう。
私は思わず目をぎゅっとつむった。
このまま唇が触れることを望んでいる私がいる。
婚約したばかりなのに。
このときの私は、颯さんっていう婚約者がいるということを忘れてしまっていた。
「なに目つむってるんだよ」
その言葉の後に、彼は私の顎から手を離した。
「もっと嫌がれよ。だからあんな奴らに絡まれるんだよ、馬鹿か」
彼の言葉で私は我にかえる。
なに期待してたの、私…!
恥ずかしくて顔が真っ赤に染まるのがわかった。
「さっさと帰れよ。もう絡まれても知らないからな」
彼はそう言い残し背を向け、今度こそ私の方を振り返らずにその場から立ち去っていった。
その場に残ったのは、くらくらするほどの煙草の香りだった。